후리가나로 읽는 일본 고전
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ちょうのえ
蝶の絵
久生 十蘭
久生 十蘭의 蝶の絵(ちょうのえ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 24,644자 · 49화면
山川の顔は、神経質な男によくある正直な顔なので、感情がのこらず丸見えになってしまう。いったい友愛と平等とは、絶対に一致しないもので、五十いくつの顔を、過不足なしに、平等に見るということはできない。それで、教室にいる間は、眼がわるいわけでもないのにうすい色のついた眼鏡をかけ、視線を曖昧にぼかしてしまうという手のこんだ保身の術をやり、ただのいちども波風を起こさずにすました。
戦争や恋愛ばかりではなく、はげしいもの、異様なものは、なにによらず山川の敵なので、たとえば恋愛にしても、血統や、家柄や、穏やかな家族や、趣味のいいサロンや、洗煉された会話や、節度のある作法などの背景無しでは考えられない山川が、どこの馬の骨ともわからぬ混血娘などと、焼跡の野天をほっつきまわるなんてことがあろうはずがない。聞いただけで、軽く笑い流してしまったが、そのうちに須田が、常磐線の土浦駅のホームで、そういう二人を見たといいだした。それも、生仲なものではなく、娘は山川の首に両腕を投げかけ、絶えいるようになにかささやき、山川の頬を撫で、接吻し、凄艶といおうか愴美といおうか、直視するに忍びない纒綿たる情景だったということだった。