후리가나로 읽는 일본 고전
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へんさいじょき
貢太郎見聞録
田中 貢太郎
田中 貢太郎의 貢太郎見聞録(へんさいじょき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 29,162자 · 59화면
私の家の門の出口の左角になった古い木造のシナ人の下宿は、隣の米屋や靴屋の住んでいる一棟が潰れて押されたために門の内へ倒れかかっていた。地の震えは後から後からとやって来た。私は妻と子供をすぐ近くの寄宿舎の庭へと伴れて往った。そこは奈良県の寄宿舎であった。私はそれから足に怪我をしている客を負ぶって伴れて来たが、後の激震が気がかりであるから、地震の静まるまでそこにいることに定めて、家へ入って往って筵を持って来た。付近の者も続続と避難して来た。私はまた煙草を買い蝋燭を買って来た。酒屋へサイダーを取りに往った時、潰れた家の簷を破っている者があるので、それに手を貸して瓦を剥いだ。その屋根の下からは若い女とその夫らしい頬髭の延びた黄いろな顔をした男とが出て来た。
私はその一方で藤坂をあがって、その近くに住んでいる友人の家へと往った。大塚行きの電車の線路に沿うた両側の家では、皆線路の上に避難していた。潰れた家は見えなかったが、どの家も屋根瓦がひどく落ちていた。友人の細君も避難者の中に交って筵の上に坐り、洋傘を日覆いにして、生れたばかりの嬰児を抱いていた。
大砲を撃つような音が時折聞えだした。