후리가나로 읽는 일본 고전
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せきがいせんおとこ
赤外線男
海野 十三
海野 十三의 赤外線男(せきがいせんおとこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 38,889자 · 78화면
この神秘を知っている若いサラリーマン達の間には、このエレヴェーター附近を「佐用媛の巌」と呼び慣わしていた。かの松浦佐用媛が、帰りくる人の姿を海原遠くに求めて得ず、遂に巌に化したという故事から名付けたもので、その佐用媛に似た美しさと淋しさを持った若い婦人がいつも必ず一人は居るというのであった。
その午前十時半にも確かに一人の佐用媛が巌ならぬエレヴェーターの蔭に立っていた。鶯色のコートに、お定りの狐の襟巻をして、真赤なハンドバッグをクリーム色の手袋の嵌った優雅な両手でジッと押さえていた。コートの下には小紋らしい紫がかった訪問着がしなやかに婦人の脚を包み、白足袋にはフェルト草履のこれも鶯色の合わせ鼻緒がギュッと噛みついていた――それほど鮮かな佐用媛なのに、そのひとの顔の特徴を記憶している者が殆んど無いという全くおかしな話だった。尤もホームは至って閑散で、そんなことには超人的な記憶力をもっている若い男たちが、幸か不幸かその近所に居合わさなかったせいにもよるだろう。そこへ上りの品川廻り東京行きの電車がサッと六番線ホームへ入って来た。運転台の硝子窓の中には、まだ昨夜の夢の醒めきらぬらしい、運転手の寝不足の顔があった。