후리가나로 읽는 일본 고전
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えちごのふゆ
越後の冬
小川 未明
小川 未明의 越後の冬(えちごのふゆ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 7,272자 · 15화면
小舎は山の上にあった。幾年か雨風に打たれたので、壁板には穴が明き、窓は壊れて、赤い壁の地膚が露われて、家根は灰色に板が朽ちて処々に莚を掩せて、その上に石が載せられてあった。この山の上は風が強い。雪解の頃になれば南の風が当るし、冬は沖から吹く風が時々小舎を持って行くように揺るのであった。だから家の周囲には四方から杉や、松や、榛の材で支えをして置く。その木すらもはや大分根元が腐って、少しの風でぐらつくのだ。
田や圃の収穫は済んだ。太吉の父親は病身の妻とその子を残して、上州へ出稼に出たのである。来年、この北国の山や野が若々しい緑で被われて、早咲の山桜の花が散って、遠野に白い烟が棚曳て、桃の花が咲く時分にならなければ帰って来ない。
太吉は炉辺に坐って、青竹を切って笛を造りながら、杉の葉や枯れた小枝を手折てはこれに火を焚付けて、湯を沸して町から母の帰るのを待っていた。長い月日の間、火を焚く烟で黒く煤けた天井の梁からは、煤が下っている。其処から吊された一筋の鉄棒には大きな黒い鉄瓶が懸っていた。ぱっと移りの易い杉葉に火が付いて、紅い炎は梁の煤にまで届こうとして、同時に太吉の顔を赤く色彩った。