후리가나로 읽는 일본 고전
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きんろう
金狼
久生 十蘭
久生 十蘭의 金狼(きんろう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 89,438자 · 179화면
だがね、やはり探偵小説は僕の手に合わない。結局得るところはなにもなかった。それで、僕はこれからすぐ……十時二十分で発つが君は?」
「僕はあすの十一時十八分」
山瀬のほうへ手をさし出しながら、久我がいった。
「それでは、僕はここでおりる。もう時間がないから、この辺からちょっとホテルへ電話をかけて仕度をさせておくつもりなんだ」
ちょうど尼ヶ崎のちかくだった。
山瀬は久我の手を握りかえしながら、
「じゃ、また東京で」
「どうか、お大事に」落着いた口調で、山瀬がこたえた。
「大丈夫だ。どんなことでもしてやる。解除の時を待てばいいだけのことだから……じゃ……」
久我は片手をあげて山瀬のタキシに挨拶すると、停留場前の明るい喫茶店へはいっていった。いりちがいに、なかから若い娘がひとり出てきた。窪んだ眼、高い鼻、……典型的なこの南島人の顔は、たしかにどこかで見たことがある。
ようやく思いだした。はじめて〈シネラリヤ〉へ葵をたずねていったとき、そばへよってきて、踊ってちょうだい、といった、あの鮭色のソワレを着た娘だ。それにしても、もうこんなとこまで流れてきているのか。
久我は珈琲を注文すると、すぐ立ちあがって電話室へ入って行った。