후리가나로 읽는 일본 고전
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きんろう
金狼
久生 十蘭
久生 十蘭의 金狼(きんろう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 89,438자 · 179화면
久我にとってはじつに驚くべきことだった。こんな変異が自分のうちに起きようとはただの一度も考えたことはなかった。
久我は葵の手をとりあげてそっと唇をふれた。葵がぱっちりと眼をあけた。
「あたし、眠ってしまったのね。……もう出かけなくてはならないの? ……もうすこしこうしていたいんだけど……」
「いいとも。……いいころに起してやる。……葵、僕がいまなにを考えていたか知ってるか?」
葵はうっすらと眼をとじると、夢からさめきらないひとのような声で、こたえた。
「あたしのこと……」
久我が声をたてて笑った。
すぐ間近で鋭い呼子の音がした。
見あげるような五人の大男が、つぎつぎに霧の中から現れて、半円をつくりながらジリジリと二人のほうへつめよった。
久我の上衣の衣嚢から一道の火光が迸った。鉄の焦げる臭いがし、鋭い破裂音が林の中へひびきわたった。いくどもいくどもこだまをかえした。
一人が呻き声をあげて草の上へ膝をついた。四人の男はあとしざりしながら、口々に叫んだ。
「野郎、抵抗するか」
「御用だ、岩船重吉!」
久我のピストルが、また轟然と火を噴いた。四人の男は蝗のように納屋のうしろへ飛びこんだ。