후리가나로 읽는 일본 고전
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くにさだえがく
鏡花短篇集 川村二郎編
泉 鏡花
泉 鏡花의 鏡花短篇集 川村二郎編(くにさだえがく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 19,644자 · 40화면
――これが、名代の阿部川だね、一盆おくれ。――
と精々喜多八の気分を漾わせて、突出し店の硝子戸の中に飾った、五つばかり装ってある朱の盆へ、突如立って手を掛けると、娘が、まあ、と言った。
――あら、看板ですわ――
いや、正のものの膝栗毛で、聊か気分なるものを漾わせ過ぎた形がある。が、此処で早速頬張って、吸子の手酌で飲った処は、我ながら頼母しい。
ふと小用場を借りたくなった。
中戸を開けて、土間をずッと奥へ、という娘さんの指図に任せて、古くて大きいその中戸を開けると、妙な建方、すぐに壁で、壁の窓からむこう土間の台所が見えながら、穴を抜けたように鉤の手に一つ曲って、暗い処をふっと出ると、上框に縁がついた、吃驚するほど広々とした茶の間。大々と炉が切ってある。見事な事は、大名の一たてぐらいは、楽に休めたろうと思う。薄暗い、古畳。寂として人気がない。……猫もおらぬ。炉に火の気もなく、茶釜も見えぬ。
遠くで、内井戸の水の音が水底へ響いてポタン、と鳴る。不思議に風が留んで寂寞した。
見上げた破風口は峠ほど高し、とぼんと野原へ出たような気がして、縁に添いつつ中土間を、囲炉裡の前を向うへ通ると、桃桜溌と輝くばかり、五壇一面の緋毛氈、やがて四畳半を充満に雛、人形の数々。