후리가나로 읽는 일본 고전
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に、さんば――じゅうに、さんば
鏡花短篇集
泉 鏡花
泉 鏡花의 鏡花短篇集(に、さんば――じゅうに、さんば)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 33,305자 · 66화면
庭下駄を揃えてあるほどの所帯ではない。玄関の下駄を引抓んで、晩方背戸へ出て、柿の梢の一つ星を見ながら、「あの雀はどうしたろう。」ありたけの飛石――と言っても五つばかり――を漫に渡ると、湿けた窪地で、すぐ上が荵や苔、竜の髯の石垣の崖になる、片隅に山吹があって、こんもりした躑躅が並んで植っていて、垣どなりの灯が、ちらちらと透くほどに二、三輪咲残った……その茂った葉の、蔭も深くはない低い枝に、雀が一羽、たよりなげに宿っていた。正に前刻の仔に違いない。…様子が、土から僅か二尺ばかり。これより上へは立てないので、ここまで連れて来た女親が、わりのう預けて行ったものらしい……敢て預けて行ったと言いたい。悪戯を詫びた私たちの心を汲んだ親雀の気の優しさよ。……その親たちの塒は何処?……この嬰児ちゃんは寂しそうだ。
土手の松へは夜鷹が来る。築土の森では木兎が鳴く。……折から宵月の頃であった。親雀は、可恐いものの目に触れないように、なるたけ、葉の暗い中に隠したに違いない。もとより藁屑も綿片もあるのではないが、薄月が映すともなしに、ぼっと、その仔雀の身に添って、霞のような気が籠って、包んで円く明かったのは、親の情の朧気ならず、輪光を顕わした影であろう。