일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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きりのばんしゃ

霧の蕃社

中村 地平

中村 地平의 霧の蕃社(きりのばんしゃ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 28,389자 · 57화면

아오조라 문고

たちまち警察隊によって追跡されたが、深い暗い密林のなかに隠れひそんで、巧みに逮捕を免れた。間もなくほとぼりが醒めた、と思われる頃、彼はふたたび自分の家に舞いもどってきた。警察隊は蕃屋のなかに踏みこもうとするが、蕃刀をふりかぶって彼は相手を近づけない。やむなく、警察隊は蕃屋を包囲して持久戦の体勢をとった。

ヒポアリスの父は観念してしまった。囲みをやぶって脱出することは、どうしてもできないのである。彼は蕃屋の内部に自ら火をつけた。木と茅とでできた粗末な小舎にはたちまち火がまわり、建物全体が一個の炎と化してしまった。そして、彼自身は勿論のこと、妻も子供もそのなかで無惨に焼け死んでしまった。

その頃、当のヒポアリスはまだ十歳であった。父が壮烈な自殺を遂げた時は、ちょうど隣家に遊びに行っていた。そのために危く不幸な死を逃れることができた。しかし、自分の家が焼け落ちる音と、恐ろしい父や母の最後の叫び声をはっきりと隣家で耳にした。また骨になった兄や姉やの無惨な姿を眼の辺りに眺めもした。それは幼い心にも異常な印象であった。その印象は大きな火傷のようにいつまでも胸に残った。