후리가나로 읽는 일본 고전
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ふうちそう
風知草
宮本 百合子
宮本 百合子의 風知草(ふうちそう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 44,107자 · 88화면
低地にひろがった尾久方面も、高台も、今は一面の焼け野原となっていた。アスファルトの道ばたには、半分焦げのこった電柱だの、焼け垂れたままの電線、火熱でとけて又かたまったアスファルトのひきつれなどがあった。焼トタンのうずたかい暗い道の上で、通行人は互に近づく黒い影を目じるしにしてよけあってとおっていた。
「――暗いねえ」
ゆっくりした足どりをなおおそくして、重吉がおどろいたように云った。
「大丈夫かい?」
「大丈夫よ。暗いけれどこっちの道は案外いいのよ」
「それにしても――こんなところを、ひろ子一人でなんか歩いちゃ駄目だ」
二人で歩ける今、重吉が、一人でなんか歩くなと云ってくれるこの夜道を、ひろ子はこれまで幾度ひとりで通らなければならなかったろう。リュックを背負い、もんぺにはいた靴をふみしめ、つよく振る手で薄気味わるさを追っぱらうように力んで、通った。自分のその姿が、はっきりひろ子の心に浮んだ。その姿を仔細に追ってゆくと、そこには電車の中で重吉が不意に云い出した批評につながる自分の在ることが、ひろ子自身にもさとられるような気がするのであった。
「さっき電車の中でしかけた話ね、覚えていらっしゃる?」