후리가나로 읽는 일본 고전
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きがちたいをあるく
飢餓地帯を歩く
下村 千秋
下村 千秋의 飢餓地帯を歩く(きがちたいをあるく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 15,478자 · 31화면
にはいられなかったのである。
さて、その炉端には、当家の主人が、ぼんやりと焚火を見詰めていた。いつ剃りを当てたのか解らない髯面の中に、目だけを白く光らしている。しかし主人は、私を連れて来たわけを主婦から訊くと、その白い目を細めてこころよく迎えてくれたのである。
私は泥靴を脱いで、炉の火に氷のような足をかざした。炉にかけた鍋の中には、何かぐずぐず煮えている。それは、めしの時に食べたが、くだけ米に、かぼちゃのうらなりを混ぜたものであった。うらなり南瓜は、平年には、田圃へ棄ててしもうものである。ぐしゃぐしゃで、味もそっけもないものであった。
主人は、方言を出来るだけ標準語に直しながら、ぼつりぼつりと話し出した。話すことは勿論暗いことばかりであった。同じ村内に、たった六銭の金がないばかりで、満洲へ出征している息子からの手紙を見損ったという老父のあることも話した。
「切手の不足税六銭が払えないばかりに手紙は元へかえされちまったのだそうです。それで、親爺さんは、涙を流しながら言ってだです。どっちりと重い手紙でした。いろんなことが書いてあったに違えねえだ。わしはそれを手に取って、よくさわって見て、伜の心持ちを読み取ったです、と言ってやした。