후리가나로 읽는 일본 고전
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なるとひちょう
鳴門秘帖(一)
吉川 英治
吉川 英治의 鳴門秘帖(一)(なるとひちょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 262,100자 · 523화면
一角にとって、頼み甲斐のない助太刀は、また一人が朱になったのをきッかけに、わッとひるみ立って、麓の方へ逃げだした。
うまくはずして行った森啓之助でも呼んでくる気か? おそらく、あの啓之助に、ふたたびここへ戻ってくるほどな勇気はあるまい。
だが、さすがに天堂一角は、あくまでそこを退かなかった。人まぜをせぬ一人と一人、ややしばらく息をひそめて睨み合った。原士の中で、有名な使い手だけあって、難波一方流と覚しき太刀筋はたしかなもの。弦之丞とて、迂濶にはあしらえない。
こういう筋のいい太刀は、ほとんど、その斬る手も引く手も見せない迅さを持っている。戛っ! とばかり、たった一度、双方の白刃が摺り合ったかと思うと、天堂一角の姿は、忽然としてそこらにあらず、弦之丞のすぐ側の樹に、どこから飛んできたのか、一条の捕縄が、蛇のように絡みついて、ピンと向うへ張っていた。
弦之丞と一角の技は、とうとう優劣がつかなかった。この時の場合は、まず互角といっていい。なぜならば計らざる者が、その刹那を引き分けてしまったのだ。
と、いうのは。
時雨堂から、危うく逃れた目明し万吉。この変事を、住吉村にいる常木鴻山へ知らせようとして、ヘトヘトになりながら、折も折、この山越えにかかってきた。