후리가나로 읽는 일본 고전
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なるとひちょう
鳴門秘帖(三)
吉川 英治
吉川 英治의 鳴門秘帖(三)(なるとひちょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 261,216자 · 521화면
かれは手に残った秘帖の一部を鴻山に渡して、これは自分の使命のしるし、所司代松平左京之介殿の手をへて、幕府へ委細の復命をたのみたいといった。
「いや」
と鴻山は固く辞退した。
「この事件になんの功もない拙者が、それを携えて幕府の歓待にのぞむのは僭越でもあり、第一資格のない自身として恥入りまする。京都の左京之介様、また江戸表でも将軍家をはじめ、貴殿の肉親の人々も、どれほどか、噂をきいてそこもとの偉功をたたえて待っているか知れますまい。いわば栄ある凱陣の将、拙者も万吉もほかの者も皆、御同道申しあげよう。ぜひとも、それは御自身で江戸表へ」
と、すすめるのを、弦之丞は手を振って、
「御厚意のほどはありがたく思いまするが、実は、自分の一個の存念で、このまま、江戸へは帰らぬ覚悟でござります」
「えっ」
と鴻山は、その心を計りかねるように、
「そりゃ、なぜでござるか?」と弾みこんでまたすぐに、
「何か、徳川家に対して、ご不平でも? ……」と探るように顔色を見た。
なぜ?
それはお綱にも万吉にも、同時に怪しまれたことだった。ことに、お千絵はなつかしい人の姿を目の前にしながら、まだあたりの人の手前、ひとことも口をかわされないでいたが、にわかに悲しげな色が眉を曇らしている。