후리가나로 읽는 일본 고전
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めいせつじじょでん
鳴雪自叙伝
内藤 鳴雪
内藤 鳴雪의 鳴雪自叙伝(めいせつじじょでん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 192,693자 · 377화면
一つ記憶に残っているのは、何処の宿であったか忘れたが、朝早く店先で宿の女房などが騒ぐ声がする、私は何心なく行って見ると、抜身の手槍を持った侍が突立っていて、宿の女房は『ここは薩州様のお宿であります。』と繰返し言っていた。なお私の外にも同行者が段々起きて来て、そこへ列んだので、右の侍はそのまま帰って行った。聞いて見るとそれは久留米藩の侍で、それらの数人がこの駅へ泊って、出立の際問屋の応接のしぶりが悪かったか何かで、例の気荒な九州武士の感情に障り、直ちに抜刀したから、問屋の役人は皆逃げ出した、それをあちらこちらと追掛けて、そこで私等の宿へも捜索に来たのであった。けれども薩州人が泊っている上に数人の若人が出て来たので先方も穏かに引取ったのであるらしい。また或る日川越しをする時であったが、旅客の多勢が集っていてその荷物なども容易に舟に積んでくれない。旅客は頻にあせっている。そこへ或る老人の渡場の差図役が来たが、私の荷物に松山藩と記してあるのを見ると、忽ち「松山様だ、先へ早う。」と呼んで、誰よりも先へ私の荷物を運んでくれた。王政となった今日、松山も何もないのだが、徳川時代の御親藩たる威勢が老人の頭には残っていたと見えて、それには私も頗る今昔の感慨を起したことであった。