후리가나로 읽는 일본 고전
ja-reading.com
후리가나가 있는 일본 고전을 온라인으로 읽으세요. JLPT 수준으로 골라 보고, 단어를 눌러 뜻을 확인하고, 문장을 번역하세요.
こくてん
黒点
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 黒点(こくてん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 30,665자 · 62화면
私は嬉しかった。職工の運動云々のことにも拘らず、父母も喜んで彼を迎えた。そして彼は父と酒を飲み初めた。
その晩彼がどんなことを云ったか、私は殆んど覚えていない。思い出すことといってはただ、酒を飲むに随って、彼の額が益々蒼白く澄んでゆくような感じだったのと、帰りしなに、母へ眼病の妙薬とかいう薬草を置いていったのと、虫眼鏡で私と暫く遊んでくれたのだけである。――薬草というのは、四五寸ばかりの小さな乾草で、その汁を水にしみ出さして眼につけると、どんな眼病にも利くというのだった。が、母は其後一度もそれを使わなかった。薬草はどこかの隅に永久に置き忘られてしまったらしい。
彼は二三時間私の家で過ごして、いつもの通り裏口から静かに帰っていった。然し彼はその晩、私が殆んど何にも覚えていないように、特別に変ったことは何一つ為しも云いもしなかったに違いない。もし、何か特別なことがあったら、私が見落す筈はなかった。なぜなら、私と彼と虫眼鏡でいろんな物を眺めながら、凡そ印刷物のうちでも、紙幣が一番よく印刷してあるというようなことを、彼から聞かされてるうちに、ふと、これきり彼はどこかへ行ってしまうんじゃないかという気がしたのである。