후리가나로 읽는 일본 고전
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あのかお
あの顔
林 不忘
林 不忘의 あの顔(あのかお)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 14,813자 · 30화면
」
と、たまらない嬉しさがこみ上げて来て、裏口から駈けこんで行くと、長い土間のむこうに、家内の灯を背にして、黒い人影が立っていた。顔は見えなかったが、じっと雨を見つめているふうだった。電光が走り過ぎて、男の外線がくっきり浮かんだ。きりっとした旅装束で、片手に、笠を掻いこんでいた。
お久美は、ふところへ飛びこむように、駈け寄った。
「まあ、あなた!」
声をかけた。縋りつきたかった。男の腕が、お久美の肩へ廻ってきて、ちょっと顔を向けた。はっきりした輸廓だった。冷えびえとした額、みどり色に見えるほどのすき透った皮膚に、笑いをふくんだ切れ長の眼だった。ぞっとするくらい通った、高い鼻だった。おちょぼ口が、微笑にゆがんでいた。あの顔だった。岩井半三郎だった。
はっとすると同時に、もうお久美は、そのものに手を取られて、雨のなかを歩き出していた。揺れる闇黒の奥へ、消えた。追って出たおひさの見たのは、雨に光って吸われて行くお久美の白い足だけだった。
暴風雨は、来るのも早かったが、去るのも早かった。夜あけになって、月だった。お久美が、大雨の最中出て行ったきり帰らないので、おひさの家をはじめ、谷由浜の村は、騒ぎになっていた。