후리가나로 읽는 일본 고전
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いしがおごる
いしが奢る
山本 周五郎
山本 周五郎의 いしが奢る(いしがおごる)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 22,304자 · 45화면
そう云いかけていしは自分でふきだした。
「つい力がはいり過ぎて、よろめいちゃって」
そう云いながら身を跼めて笑いだした。そしてとつぜん保馬の膝へ俯伏したと思うと、笑いがそのまま泣き声に変り、背をふるわせて泣きはじめた。保馬は黙って、片方の手でその背中を撫でてやった。いしはなにかを訴えたいようであった。保馬にも云ってやりたいことがあった。しかしどちらも、口にだしてはなにも云わなかった。泣き声はしだいに鎮まったが、そうしていることがいかにも楽しいようすで、かすかにしゃくりあげながら、なお暫くのあいだ、いしは膝に凭れたままでいた。
「これで願がかないましたわ」
やがて起き直ったいしは、袂で涙を拭きながら微笑した。
「いちど思いきり泣いてみたかったんです、なんにもわけはないんですけれど、……これでさっぱりしましたわ」それからいつもの明朗な表情で保馬を見た、「人間って悲しくなくっても、ときどき泣かないと躯に悪いんじゃないでしょうか」
保馬は黙ったまま、劬わるように頷いた。
その夜(だけではないが)宿所へ帰った保馬は、仲田や堀たちと夜半過ぎまで調べものをした。二人の分担していた仕事は、この六十余日のあいだにめざましく進んでいた。