후리가나로 읽는 일본 고전
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おくみさんとそのしゅうい
お久美さんと其の周囲
宮本 百合子
宮本 百合子의 お久美さんと其の周囲(おくみさんとそのしゅうい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 75,369자 · 149화면
厳らしい様子で落ついて居た主人は、急に、
「ああそうか、すりゃあ好く来なすった。
と云うと、皆に、
「今日はもう客がありますから一寸。
と二三度頭を下げてそそくさと暗い方へ行って仕舞った。誰も口を利く者も立つ者もない位魂を奪われた者達は、自分達をどうして好いのか惑う様に互に顔を見向わせて、静まり返って心の高まる様だったと思われて居た前の瞬間を不思議に思い浮べて居た。
急に足元を浚われた様な皆は、始めの間こそ妙に擽ったい様な滑稽な気持になって居たけれ共、しばらくすると、自分達に加えられた無礼に対する反感がムラムラと湧き上って、前よりも一層引きしまった顔を並べて黙り返って居た。
娘達は大嵐の起ろうとする前一刻の死んだ様な寂寞に身を置いて居る様な不気味さで互に袂のかげで手を堅く握り合ったり肩をぴったりすりよせたりして、何かたくらんで居るらしい若者の群を臆病に折々見合って居た。
皆の心は怒で波立って居たけれ共、その時主人が最一度顔を出して何か一言、
「失礼してすみませんでした。
とでも云えば、
「いいえ、何。
と云う丈の余裕は有った。
けれ共土間で声は聞えながら主人夫婦と客とはなかなか出て来なかったが、二階へ行くに通らなければならないので三人は一かたまりになって皆の座って居る傍を通った。