후리가나로 읽는 일본 고전
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さぶ
さぶ
山本 周五郎
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 210,521자 · 415화면
栄二は考えてみて首を振った。
「おれが帳場を預かってたんだ、おめえが銭箱からくすねることを、初めにみつけたのはおれだ」と和助は云った、「すぐに自分で叱ればよかったかもしれねえ、が、おれにゃあそれができなかった、ないしょで親方に相談してみたら、おれのほうが親方から叱りとばされた」
栄二の眼が動かなくなり、和助は告白するような口ぶりで続けた。
「人も見ていず、手の届くところに金があれば、誰しもひょいと手の出るもんだ、それが人間てえもんだ、ぬすむやつよりも、ぬすむ隙を与えるやつのほうが悪い、栄二よりもおめえのほうが手落ちだ、――と親方は云った、おれは一言もなかった、親方の云うとおり、そんな隙を与えたおれのほうが悪かった、そう思ったからおめえにはなんにも云わなかったし、親方とおかみさんのほか、今日まで誰一人知っている者はなかったんだ」
「すると、いや」栄二は首を振り、動かない眼で一点を凝視したまま反問した、「つまり、そうするとこんどの金襴のことも、銭箱のときと同じ伝だという、つまりそういうことなんですね」
「おめえはあの家の間取も知ってるし、一つおいた隣りの客座敷で仕事をしていた、――二人の娘さんや、店の人たちの中に、もしおめえに恨みのある者でもいればべつだが、そういう者が一人でもいるとは思えねえ、それだけは保証する