후리가나로 읽는 일본 고전
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たずねびと
たずねびと
太宰 治의 たずねびと을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 7,132자 · 14화면
は充分にわかっていますが、しかし、私としてはそんな有りっこ無い事をも、あてにして書かずに居られない気持なのです。
「お嬢さん。あの時は、たすかりました。あの時の乞食は私です。」
その言葉が、あの女のひとの耳にまでとどかざる事、あたかも、一勇士を葬らわんとて飛行機に乗り、その勇士の眠れる戦場の上空より一束の花を投じても、決してその勇士の骨の埋められたる個所には落下せず、あらぬかなたの森に住む鷲の巣にばさと落ちて雛をいたずらに驚愕せしめ、或いはむなしく海波の間に浮び漂うが如き結末になると等しく、これは畢竟、とどくも届かざるも問題でなく、その言葉もしくは花束を投じた当人の気がすめば、それでよろしいという甚だ身勝手なたくらみにすぎないようにも思われますが、それでもやはり私は言いたいのです。
「お嬢さん。あの時は、たすかりました。あの時の乞食は、私です。」と。
昭和二十年、七月の末に、私たち家族四人は上野から汽車に乗りました。私たちは東京で罹災してそれから甲府へ避難して、その甲府でまた丸焼けになって、それでも戦争はまだまだ続くというし、どうせ死ぬのならば、故郷で死んだほうがめんどうが無くてよいと思い、私は妻と五歳の女の子と二歳の男の子を連れて甲府を出発し、その日のうちに上野から青森に向う急行列車に乗り込むつもりであっ