후리가나로 읽는 일본 고전
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だいこん
だいこん
久生 十蘭
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N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 153,732자 · 303화면
サイレンがなにかの合図だったとみえ、軍艦のランチは大いそぎで速力をおとした。高速艇がそばへすりよると、白い鉄兜をかぶった背の高い海兵がランチへ飛び移ってきて、運用長になにかいっている。
下士官は腕時計を見ながらいった。
「悪い時間にひっかかりました。日本船は十七時以後の航行制限を受けて居りますんですが、あなたがたのような美しいお嬢さんをお送りするだけなのですから、むずかしいことはいうまいと思います」
沖のほうへふりかえるとレヴュウの舞台のような夕陽のサスペンションの中で、アメリカの軍艦が押せおせに並び、駆逐艦が高速試験でもしているように走りまわり、空の高いところにはP51のパトロールが蚊絣のように飛んでいる。〈眼に痛い光景〉とはこのことだ。戦争に負けたという実感がよく頭にしみこんでいないので、つい忘れてしまうけど、あたしたちのランチが走っているのはもう日本の海ではない。連合軍の制限下にある海だ。講和会議がすんで日本が自主権をとりもどすまで、ボオドレェル式にこんなふうにいっておこう。〈好寄心と野心を失ったものにとって、防波堤の上に肱をつき、旅するもののあわただしき運動を眺めやることは、一種、貴族的な快楽である〉