후리가나로 읽는 일본 고전
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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 ちくま日本文学014 谷崎潤一郎(しゅんきんしょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 85,196자 · 169화면
私はこれだけの材料が、なにゆえ今日まで稗史小説家の注意を惹かなかったかを不思議に思った。もっとも馬琴の作に「侠客伝」という未完物があるそうで、読んだことはないが、それは楠氏の一女姑摩姫と云う架空の女性を中心にしたものだと云うから、自天王の事蹟とは関係がないらしい。外に、吉野王を扱った作品が一つか二つ徳川時代にあるそうだけれども、それとてどこまで史実に準拠したものか明かでない。要するに普通世間に行き亘っている範囲では、読み本にも、浄瑠璃にも、芝居にも、ついぞ眼に触れたものはないのである。そんなことから、私は誰も手を染めないうちに、自分が是非共その材料をこなしてみたいと思っていた。
ところが、ここに、幸いなことには、思いがけない縁故を辿って、いろいろあの山奥の方の地理や風俗を聞き込むことが出来た。と云うのは、一高時代の友人の津村と云う青年、―――それが、当人は大阪の人間なのだが、その親戚が吉野の国栖に住んでいたので、私はたびたび津村を介してそこへ問い合わせる便宜があった。
「くず」と云う地名は、吉野川の沿岸附近に二箇所ある。下流の方のは「葛」の字を充て、上流の方のは「国栖」