후리가나로 읽는 일본 고전
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しゅんきんしょう
ちくま日本文学014 谷崎潤一郎
谷崎 潤一郎
谷崎 潤一郎의 ちくま日本文学014 谷崎潤一郎(しゅんきんしょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 85,196자 · 169화면
武蔵野と云う旅館は今もあるが、二十年前とは持主が変っているそうで、あの時分のは建物も古くさく、雅致があったように思う。鉄道省のホテルが出来たのはそれから少し後のことで、当時はそこと、菊水とが一流の家であった。津村は待ちくたびれた形で、早く出かけたい様子だったし、私も奈良は曾遊の地であるし、ではいっそのこと、せっかくのお天気が変らないうちにと、ほんの一二時間座敷の窓から若草山を眺めただけで、すぐ発足した。
吉野口で乗りかえて、吉野駅まではガタガタの軽便鉄道があったが、それから先は吉野川に沿うた街道を徒歩で出かけた。万葉集にある六田の淀、―――柳の渡しのあたりで道は二つに分れる。右へ折れる方は花の名所の吉野山へかかり、橋を渡るとじきに下の千本になり、関屋の桜、蔵王権現、吉水院、中の千本、―――と、毎年春は花見客の雑沓する所である。私も実は吉野の花見には二度来たことがあって、幼少のおり上方見物の母に伴われて一度、そののち高等学校時代に一度、やはり群集の中に交りつつこの山道を右へ登った記憶はあるのだが、左の方の道を行くのは始めてであった。
近頃は、中の千本へ自動車やケーブルが通うようになったから、この辺をゆっくり見て歩く人はないだろうけれども、むかし花見に来た者は、きっとこの、二股の道を右へ取り、六田の淀の橋の上へ