일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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つゆのあとさき

つゆのあとさき

永井 荷風

永井 荷風의 つゆのあとさき을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 74,725자 · 148화면

아오조라 문고

そういう御心持でいらっしゃれば、別に御心配には及ばないと思います。」

君江は易者のいう事を至極尤だと思うと、自分ながらつまらない事を気に掛けていたと、忽ち心丈夫な気になってしまった。それでもまだ何やらきいて見たいような心持がしながら、しかしあまり微細な事まで問掛けて、それがため現在の職業はまだしもの事、二、三年前京子と二人で待合や媒介所を歩き廻った事まで知られてはと、底気味のわるい心持もする。猫の死骸や櫛のなくなった事もきいて見ようとは心づきながら、カッフェーへ行く時間が気になるので、今日はこのまま立去ろうと考え、

「失礼ですが、御礼は。」といいながら帯の間へ手を入れる。

「壱円いただく事にしてありますが、いかほどでも思召しで宜しいのです。」

出入口の戸があいて、洋服の男が二人無遠慮に君江の腰をかけているすぐ側の椅子に坐ったのみならず、その一人はぎょろりとした眼付の、どうやら刑事かとも思われる様子に、君江は横を向いたまま椅子から立って、易者にも挨拶せず、戸を明けて廊下へ出た。

建物を出ると、おもては五月はじめの晴れ渡った日かげに、日比谷公園から堀端一帯の青葉が一層色あざやかに輝き、電車を待つ人だまりの中から流行の衣裳の翻えるのが目に立って見える。