후리가나로 읽는 일본 고전
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とむらいきかんしゃ
とむらい機関車
大阪 圭吉
大阪 圭吉의 とむらい機関車(とむらいきかんしゃ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 186,729자 · 371화면
男はなおも歩き続けた。幾つかの角を曲って、漁船の波止場に近い鰊倉庫の横まで来ると、男はやっと立止って、臆病そうに辺りを見廻し、黙って馳け寄って来た女の方へ振返った。
それは幽霊でも何でもない、正真正銘の小森安吉だった。霧に濡れてかそれとも潮をかぶったのか、全身濡れ鼠になっていた。女は躍りかかるようにして、抱きついて行った。
けれども生き帰って来た安吉は、以前の安吉とはまるでガラッと変っていた。短い間にも、女には直ぐにそれがわかった。
「おれが帰って来たことは、誰にも云ってくれるな」
とにかく落付かないから家へ這入ろう――女はそう云ってすすめるのだが、安吉は、再び辺りをきょろきょろと見廻して、
「ダメダメ、おれは狙われてるんだ。家なんか、帰れるものか」
そして妻の肩を両手でかかえるようにさすりながら、声を改めて、
「時坊は、大きくなったろうな?」
「そりゃお前さん……だが、いったい誰に狙われてるんだよ」
しかし安吉は、それには答えもしないで、
「ああ時坊に逢わしてくれ。おれは、むしょうに子供に逢いたいんだ」と再びおびえたように辺りを見廻し、「家へはとても帰れない。