후리가나로 읽는 일본 고전
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わがちをおうひとびと
わが血を追ふ人々
坂口 安吾의 わが血を追ふ人々(わがちをおうひとびと)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,546자 · 21화면
もし彼らが殉教をまぬかれて生きてゐたら、苦しみを分ち、新しい勇気を与へるために、次兵衛は希望の豊かさに満足した。彼の三十四の肉体は流浪の生活に衰へを見せぬばかりか、その感情は二十の若さから全く老けてゐなかつた。あゝ、二年ぶりで見るなつかしい港、四郎に別れて丘の藪をかきわけながら、口笛を吹き、枯れそめた木々に呼びかけてゐた。金鍔次兵衛神父様の御帰還だ。さア、新しい闘争が、この丘で、また、始まるぜ。忘れ得ぬ捕吏の顔まで、友達のやうに思はれるのだ。
一年の歳月が流れ、再び秋が訪れて、商品を売りつくした四郎父子はやうやく帰途についてゐた。
異郷の空で日毎に見知らぬ顧客に対して、歓心をひき、計算し、秘密な心理の勝敗を意識しつゞけた四郎は、急速に特異な発育をつゞけてゐた。医者が患者を見るときの物質的な冷めたさが、人に対する彼の心の底面積になつてゐた。それが全て人々の賞讃から得た果実であり、人の世の平凡、常識、低俗に、虚無的な退屈を負ふた。すでに彼は十四にして断崖に孤絶し、足もとの奈落を冷然と見て、遠いふるさとに呼びかけてゐた。絶対の王者。呼べばすでに答へがきこえる。