후리가나로 읽는 일본 고전
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ニッケルのぶんちん
ニッケルの文鎮
甲賀 三郎
甲賀 三郎의 ニッケルの文鎮(ニッケルのぶんちん)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 18,523자 · 37화면
あたしはハッと思って、急いで書斎へ行って、扉をコツコツ叩いて見ても返事がないでしょう。胸をドキンドキンさせながら、恐々扉を開けてみたの。そうすると先生は背向きに椅子にかけて正面の大きな書き物机にもたれて、ガックリとこう転た寝でも遊ばしているような恰好なんでしょう。先生、先生と呼んで見たけれどもちっとも返辞がありません。あたしもう耐らなく不安になって、書生部屋へ駈けつけて、二人を起こしたの。内野さんも下村さんもなかなか起きないんですものね。随分困ったわ。やっと眼を醒ました二人に先生が変だというと、二人はまるで弦から放れた矢のように部屋を飛び出したわ。あたしが後から追い駈けてゆくと、扉の所で二人が話しているの。
『君、ちょっと待ちたまえ』下村さんの声、『手袋をはめて入ろうじゃないか。誰かこの部屋を荒らしたようだから、指紋を消してしまうといけない』
内野さんも異議がなかったと見えて、二人とも書生部屋に引き返して、手袋をはめて書斎へ入ったの。変に丁寧な事をすると思ったわ。あたしもあとからそっと部屋に入ると驚いたわ。本箱の中の本は残らずといっていい位外へ出して、開け放しのままや、閉じたままに積み重ねてあるし、抽斗は残らず引き抜いて、そりゃもう部屋中はめちゃくちゃに引っ掻き回してあるの。