후리가나로 읽는 일본 고전
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ノンシャランどうちゅうき
ノンシャラン道中記
久生 十蘭
久生 十蘭의 ノンシャラン道中記(ノンシャランどうちゅうき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 13,682자 · 27화면
「ささ、お見受けいたしますれば、これはアルプス登攀のご途中と拝察されますが……」
すると、厚手の毛織上衣に革の脚絆をしたうら若き東洋的令嬢、喉もとから腰のあたりまで巻きつけた登山綱をポンとたたいて、
「ええ、ご覧の通りよ」と、涼しげにいい放った。鉄縁眼鏡は天を仰いで嘆息し、
「ああ、天なるかな、命なるかな、……まことに申しにくいことながら、これから手前が申しあげまする条々、よウく心をしずめてお聞きとり下さい。……そもそもアルプスの山神と申しまするは、その昔、天の火を盗んだ百罰として、コウカサスはエルブルュスの巓につながれましたるプロメシウスの弟御パラシュウスと申す猛々しいお方でござります。されば山の犠牲としてご要求になる人命と申しまするものは、一年にだいたい二百六十個、片足だけお取りあげになったものは千八本、前歯が六百枚、耳が七十三対という有様でございます。とりわけお好みになりまするは、各国、各人種のお初穂でございまして国別にいたしましてその国の最初の登山者の人命は、必ずお取りあげになるというのが古来アルプスの山の掟でございます。例を申しますなれば、エドワアド・ウイムバアは最初の英吉利人、ハンス・ジムメルマンは最初の墺太利人、アブ・アッサンは最初の土耳古人でございました。