후리가나로 읽는 일본 고전
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ラしのふえ
ラ氏の笛
松永 延造
松永 延造의 ラ氏の笛(ラしのふえ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 8,706자 · 18화면
その日、彼れは私の紹介によって、病院の三等室へ――それも特別の割引きで――入院する事に決めて貰ったのである。
彼れは感謝の意を表すため、言葉を口走るよりも先に、大層慌てて私へ握手したが、その掌は一種不快な温さで、不用意な私を痛く驚かした。
「体温が恐らく三十八度五分位……」と、私は心の内でさえ、尚お吃りながら呟いた。
二
その翌晩、長い時間にわたって、停電があった。
私は思い立って、蝋燭に火をつけ、不幸な患者、ラオチャンドの室――この室一つ丈けが病室から孤立していた、それも道理で、一時は其処が布団部屋にあてられていた事もあったのだが――を見舞ってやろうと決心した。
私は夜の九時を報ずる遠い大時計の音を幽かに聴き入りつゝ、蝋燭の灯を消さぬよう、出来るだけ静かに、階段を踏み下って行こうとした。そして、上からじっと下方の闇を窺った時、何かしら自分の行く先が、泥水に満ちた深い谷間のように思われるので、自然と足の進みを躊躇せしめた。
然し、私は遂にその谷間の最下へと達した。そして、閉ざされた室の扉を静かに開いて内部へ這入った時、私の予期は不意に其処で破壊された、というのは、一つの人影も、白いベッドの上には見出せなかったからである。