후리가나로 읽는 일본 고전
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ひとつのあいじょう
一つの愛情
豊島 与志雄
豊島 与志雄의 一つの愛情(ひとつのあいじょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 10,635자 · 22화면
彼女が寄り添ってきたのは、手紙の中に見える愛情のなす仕業であろう。その姿が遠くかすむのは、手紙の中にある極端な自己卑下のなす仕業であろう。この自己卑下は二つの要素から成っている。即ち、吉岡を世の中で一番えらい人だとする高い評価と、自分をばかな愚劣な虫けらだとする低い評価。互に表裏の関係をなすその二つが、普通の程度を越えて極端なのだ。それが吉岡にはどうも腑に落ちないし、時には苛ら立たせられた。文学者に対して女性が往々にして懐く愛情などというものは、好奇心の一種に似たもので、大して珍重すべきものではないと、吉岡は過去の経験から知っていた。然し紀美子の自己卑下は特殊なものだった。いったいどういう人だろうか、不具廃疾者だろうか、余りに純粋無垢なのだろうか、などと、吉岡はいつしか彼女のことを思い耽るようになった。思い耽ると、彼女はすぐ近くに在ったがその姿は捉えようがなかった。
吉岡の心は、知らず識らず彼女の方へ引き寄せられた。
御手紙有難う存じました。
私は先生にお手紙など差上げる今の自分を夢のように感じます。
私は先生をこの世で一番おえらい方と、ずっと思い続けてまいりました。