후리가나로 읽는 일본 고전
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いっぽんのはな
一本の花
宮本 百合子
宮本 百合子의 一本の花(いっぽんのはな)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 26,709자 · 55화면
朝子は、漠然と思い耽りながら、社の門を潜った。
小使室に、伊田がいた。伊田が低い腰かけにかけている後に、受附の茂都子が立って、ぐいぐい伊田の頸根っこを抑えつけていた。伊田は朝子を認め、頸をちぢこめたまま、上目で挨拶した。
「――ひどくいじめられるのね」
「ええ、ええ」
茂都子が引とって朝子に答え、小皺のあるふっくりした上まぶたをぽっとさせて、
「本当に、この子ったら、すっかり男っ臭くなっちまって……あんなに子供子供してたのに」
なお抑えつけようとした。伊田が本気で、
「馬鹿! 止してくれ」
と、手を払い立ち上った。
二時間程経って、朝子が手洗いのついでに、例の濠を見渡す、ここばかりはややセザンヌの絵のような風景を眺めて立っていると、伊田が来た。彼は、さっき見られたのが大分極り悪い風であったが、それは云わず、
「今日おいそがしいですか」
と朝子に訊いた。
「いいえ――用?」
「用じゃないんですけど……夜、上ってかまいませんか」
「いらっしゃい」
「川島君も行くかも知れないんですが」
「どうぞ」
「川島の奴……叱られちまやがった」
伊田は、面白がっているような、怖くなくもないような、善良な笑い顔をした。