후리가나로 읽는 일본 고전
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いちまいのきっぷ
一枚の切符
江戸川 乱歩
江戸川 乱歩의 一枚の切符(いちまいのきっぷ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 13,503자 · 27화면
恐らく、夫人は博士の靴を穿いた儘、線路まで往復する予定であったに相違ない。そして改めて他の足跡のつかぬ様な道を選んで、線路に行く積りであったに相違ない。が、滑稽なことには茲に一つの邪魔が入った。というのは、夫人の愛犬である所のジョンが――このジョンという名前は、私が本日同家の召使××氏から聞き得た所である。――夫人の異様なる行動を、眼ざとくも見付けてその側に来て盛んに吠え立てたのである。夫人は犬の鳴声に家人が眼を醒して、自分を発見することを虞れた。グズグズしている訳には行かぬ。仮令家人が眼を醒さずとも、ジョンの鳴声に近所の犬共がおし寄せては大変だ。そこで、夫人は、この難境を逆に利用して、ジョンを去らせると同時に自分の計画をも遂行する様な、うまい方法を、とっさに考えついたのである。
私が本日探索した所によると、ジョンという犬は、日頃から一寸した物を銜えて用達をする様に教え込まれて居った。多くは主人と同行の途中などから、邸まで何かを届けさせるという様なことに慣されていた。そして、そういう場合には、ジョンは持帰った品物を、必ず奥座敷へ置く習慣であった。