후리가나로 읽는 일본 고전
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いちぐう
一隅
宮本 百合子
宮本 百合子의 一隅(いちぐう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 2,258자 · 5화면
――大きい停車場だからすぐわかりますよ」
「どうも有難うございます。何にしろ始めて此方へ来るもんですから勝手が分らなくって――白岡って処へ参るんですが……」
浦和を出たばかりに、婆さんは、
「もう大宮でござんしょうか」
と、私に質問を繰返した。下町の生活に馴れて汽車に乗るだけさえ一事件であるのだろうと同情していた私は、少し癇癪を起した。
婆さんは、それを働かして少しは自分で自分の行く先に注意を払うだけの脳味噌も持ち合わせていないのであろうか。彼女の質問のしぶりには、彼女が混んだ電車に乗り合わせた時、ほんの三寸の隙間をも見つけて、そこへ小さからぬ尻から割り込んで掛けずに置かない性質が微妙に閃いているのであった。ばあやさんよ。私は、そして、そのような性質は余りすきではないのだ。
大宮へ来た。駅夫が「オワミヤ――オワミヤ」とワのところにアクセントをつけ車窓の下を呼んで通った。婆さんは、呆然と、その駅夫の開いたりしまったりする口だけを見た。
「大宮ですか」
「ええ……」
「大きいステーションでござんすねえ」
「次の次が白岡ですよ」
「さよですか――どうも」
初夏の若葉こそ曇り日に照っているが、駅の黒い柵の裏から直ぐ荒漠とした原野が連っている物音もせぬ小駅が白岡であった。