후리가나로 읽는 일본 고전
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さんじゅっさい
三十歳
坂口 安吾의 三十歳(さんじゅっさい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 16,211자 · 32화면
そう語っているのであろうが、なにを、甘ッちょろい、私の心は波立ちもせず、退屈しきっているのみだ。
然し、甘くない何物もある筈はない。存外にも、甘そうな見かけの物に、甚だ甘からざる何かゞあるもので、恋をする女の心、その眼の深さ冷めたさ鋭さは、表面の甘っちょろい反射本能的な言動などとは比較にならぬものがあるようだ。
たとえばあの人は、私のことを、あなたは天才だからなどと言いながら、そんな見方に定着しない意地悪い鋭さで、無慙に現実的な観察を私の全部に行きとゞかせていたのだ。
たとえば、私の無能力ということ、貧困ということ、世に容れられぬ天才の不遇などという甘い見方とは露交わらぬ冷酷な目で、私の今いる無能力と貧困の実相をきびしく見つめていた。
ありていに云えば、正体はむしろこうであったろう。
あの人の本心が私のことをあなたは天才だからと云っているのではなく、私の虚栄深い企みの心が、オレは天才だから不遇で貧乏で怠け者なんだ、そうあの人に言わせようとしていたのだ。あの人はその私の虚栄のカラクリの不潔さに堪えがたいものがあったのだ。
私は年が代ると、すぐ、松の内のすぎたばかりの頃であった思いがするが、母の住む家をでて、本郷のKホテルの屋根裏へ引越した。