후리가나로 읽는 일본 고전
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みうらろうじんむかしばなし
三浦老人昔話
岡本 綺堂
岡本 綺堂의 三浦老人昔話(みうらろうじんむかしばなし)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 113,637자 · 224화면
年を取りますと、近いことはすぐに忘れてしまって、遠いことだけは能く覚えているとか申しますけれど、矢はりそうも参りません。わたくし共のように年を取りますと、近いことも遠いこともみんな一緒に忘れてしまいます。なにしろもう六十になりますんですもの、そろ/\耄碌しましても致方がございません。唯そのなかで、今でもはっきり覚えて居りまして、雨のふる寂しい晩などに其時のことを考え出しますとなんだかぞっとするようなことが唯った一つございます。はい、それを話せと仰しゃるんですか。なんだか忌なお話ですけれども、まあ、わたくしの懺悔ながらに、これからぼつ/\お話し申しましょうか。
それは安政五年――午年のことでございます。わたくしは丁度十八で、小石川巣鴨町の大久保式部少輔様のお屋敷に御奉公に上っておりました。お高は二千三百石と申すのですから、御旗本のなかでも歴々の御大身でございました。今のお若い方々はよく御存じでございますまいが、千石以上のお屋敷となりますと、それはそれは御富貴なもので、御家来にも用人、給人、中小姓、若党、中間のたぐいが幾人も居ります。女の奉公人にも奥勤めもあれば、表勤めもあり、お台所勤めもあって、それも大勢居りました。