후리가나로 읽는 일본 고전
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シャンハイされたおとこ
上海された男
牧 逸馬
牧 逸馬의 上海された男(シャンハイされたおとこ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 8,665자 · 18화면
考えれば考える程、果して自分が坂本を殺したのか、殺さなかったのか其辺が頗る曖昧になって来た。
要するに、そんな事は何うでも宜かった。今は既う日本の土地を離れ切った。そして坂本新太郎は死んだのである。其の犯人として日本警察に狩立てられている森為吉も既に存在しないのである。新生の坂本新太郎を名乗って自分は当分此の諾威船を降りまい、其の内に二つ三つ船を換える間に国籍も解らなくなるに違いない。末子で独身のボヘミアンの彼は日本という海図上の一列島に何らの執着をも感じ得なかった。十一浬四分一の汽力で船は土佐沖に差掛っているらしかった。十八度位のがぶりで硝子窓に浪の飛沫が夜眼にも白く砕けて見えた。低い機関の廻転が子守唄のように彼の耳に通った。為吉の坂本新太郎は暫らくしてすやすやと鼾を掻き始めた。
何時間寝たか解らない。
為吉が眼を覚ました時は、暴風も凪ぎ、夜も明けかかって、船は港内に錨を下していた。唐津港あたりに颱風を避難したのだろうと思い乍ら窓から覗いた彼の鼻先に、朝靄を衝いて聳えていたのは川崎造船の煙突であった。
「神戸だ! 暴風で引返したんだ!」
が、六千噸もある船が晴雨計の針が逆立ちしようと出港地へ帰航するようなことのないのは海で育った彼が先刻承知の筈だった。