후리가나로 읽는 일본 고전
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うえのかいわい
上野界隈
久保田 万太郎
久保田 万太郎의 上野界隈(うえのかいわい)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 5,435자 · 11화면
――そのくせ小説の方には森先生の名篇『雁』というものが出て来ている。
石原は黙つて池の方を指さした。岡田も僕も、灰色に濁つた夕の空を透かして、指さす方角を見た。其頃は根津に通ずる小溝から、今三人の立つてゐる汀まで、一面に葦が茂つてゐた。其葦の枯葉が池の中心に向つて次第に疎になつて、只枯蓮の襤褸のやうな葉、海綿のやうな房が碁布せられ葉や房の茎は、種々の高さに折れて、それが鋭角に聳えて、景物に荒涼な趣を添へてゐる。此の Bitume 色の茎の間を縫つて、黒ずんだ上に鈍い反対を見せてゐる水の面を、十羽ばかりの雁が緩射やかに往来してゐる。中には停止して動かぬのもある。
その結末に近いある部分の描写である。――西洋の子供の読む本にある話の、一本の釘から大事件が生じたように、青魚の未醤煮が下宿の夕飯の膳についたため永遠に相見ることの出来なくなった勉強家の医科大学生と可憐な高利貸の妾との果敢ない恋物語にしてその傷いた一羽の雁は果して何を象徴するものだろう。
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が、すべて、そうしたものの哀れは湯島の高い石段の上と不忍のその水のほとりとに残っているだけである。