일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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アリゾナのめとら

世界怪奇実話II

牧 逸馬

牧 逸馬의 世界怪奇実話II(アリゾナのめとら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 45,877자 · 91화면

아오조라 문고

ライアンが、鼻をひこつかせて、

「鹿はこんな臭いはしやしねえ」

「鹿にはあらで――」

洒落気のあるやつで、トレスが応じた。

まだしかとは判らないが、何うも益ます怪しいのである。

立って凝視めている二人が、この時気の付いたことは、赤みがかった茶色の液体が、大きな方のトランクの合せ目から、滲むように流れ出て、床を這って居ることだ。

斯ういう場合の調査のために、鉄道会社には、何千何百という鍵が備えつけてある。それらを片っ端から合わせて見ているうちに、ライアンが最後に、此の二個のトランクに合う鍵を発見した。最初それで、大きい方の鍵前を辷らして、逡巡勝ちに蓋を持上げると、思わず彼等は、一歩蹣跚き退った。瞬時の恐怖は、この、凡ゆる異常時に慣れ切っている老刑事の神経をすら、強打したのだ。

はじめ眼に映ったのは、急ぎ出鱈目に掻き集めて、抛り込んだとしか思われない雑多な品物――手紙、書類ようの物、リボン、写真、ドレスや靴下や、コルセット等の女の身廻品――刑事が静かにそれらを分け退けると、その下に、怖るべき光景が待っていたのである。毛布に包まれて、不自然な形に折り曲げられた裸体の女の死骸だ。