후리가나로 읽는 일본 고전
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アリゾナのめとら
世界怪奇実話II
牧 逸馬
牧 逸馬의 世界怪奇実話II(アリゾナのめとら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 45,877자 · 91화면
「感謝。貴船に対し同様に祈る」
海の通行人は礼儀深い。舷々並んだ時、この交驩の国際語を残して、ワラタ号は大きいだけに速力も早いのである。忽ちのうちにクラン・マッキンタイア号を遙かに追い抜き、軈がて水平線上一抹の黒煙となり、点となりて消えて終う。これは、ワラタ号が後に続くクラン・マッキンタイア号の視界から逸し去ったばかりでなく、此の時をもって同船は地球の表面から消え失せたのである。まるで何か大きな手が海を撫でて、船をも人をも、拭い除ったかのように、ワラタ号は未だに消えたまんまだ、測り知れない海の恐怖と、神秘を残して――。
爾来、「SSワラタ」の名はロマンティック――乗っていた人の身になれば余りロマンティックでもないが――海洋怪奇談の随一に挙げられ、詩人の夢によって幾多の詩となり、多くの作家の空想を刺激しては雄大壮麗な海洋冒険小説を生み出している。事実このワラタ号の運命にヒントを得た少年向き物語の中で、明治の末以来日本に飜案紹介されているものも尠くない。
これは後日の事で、さて、話しは、船足の遅いために此の時追い抜かれて、ずっと背ろに取り残されたクラン・マッキンタイア号の上に移る。