후리가나로 읽는 일본 고전
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アリゾナのめとら
世界怪奇実話II
牧 逸馬
牧 逸馬의 世界怪奇実話II(アリゾナのめとら)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 45,877자 · 91화면
余が妻は嬰児を抱きて、石像の如く余が傍らに立てり。相顧みて千万無量の微笑、最早や凡べては畢んぬ。海中に投じらるるも離れじと、妻は今己が帯革もて、余と児と自らを縛しつつあり。おお神よ、今し余らは御許に急ぐ――」
などというのがあって――これは原文を載せると余程面白いのだが、ちょっと長いから省く――驚いたことには、これにはちゃんと船客名簿に載っている人の署名までしてある。かと思うと、家族に宛てた細ごまとした書置き風のもあったが、当局が調査してみると、呆れたことには、この六つが六つとも立派ないんちきだった。好奇な悪戯者が、自分で書いて尤もらしく壜へ入れて持込んだり、或いはそっと海へ流し、人に拾わせて騒ぎを起そうとしたのだった。
要するにワラタ号のことは、あの、二十七日の朝六時に、クラン・マッキンタイア号が前方の水平線下に黒煙を見送って以来、何も判らない。が、二百の人名と夥しい財物を積んでいる一万六千八百噸の船である。解らないがわからないでは済まない。会社の体面もあるし、何とか解釈をつけなくては、遺族へ顔向けも出来ないのだ。そこで、倫敦で船舶局の海事査問が開かれることになって、ワラタ号に対する一般の興味は、また、嫌が上にも掻き立てられた。