후리가나로 읽는 일본 고전
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しがつばか
世相・競馬
織田 作之助
織田 作之助의 世相・競馬(しがつばか)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 19,112자 · 39화면
「あの人は大丈夫ですよ。メチルでやられるからだじゃない。不死身だ。不死身の麟太郎だ」
私はそう言った。
武田さんはやがて罹災した。避難先は新聞社にきいてもわからなかった。例によって行方をくらましたなという感じだった。
「あの人は大丈夫だ。罹災でへこたれるような人じゃない。不死身だ」
私は再びそう言った。
四月一日の朝刊を見ると、「武田麟太郎氏急逝す」という記事が出ていた。
私はどきんとした。狐につままれた気持だった。真っ暗になった気持の中で、たった一筋、
「あッ、凄いデマを飛ばしたな」
という想いが私を救った。
「――今日は四月馬鹿じゃないか」
そうだ、四月馬鹿だ、こりゃ武田さんの一生一代の大デマだと呟きながら、私はポタポタと涙を流した。
そして、あんなにデマを飛ばしていたこの人は寂しい人だったんだ、寂しがり屋だったんだと、ポソポソ不景気な声で呟いていた。
新聞に出ている武田さんの写真は、しかしきっとして天の一角を睨んでいた。
(「光」昭和二一年五・六月合併号)