후리가나로 읽는 일본 고전
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なかむらつねしのついおく
中村彝氏の追憶
寺田 寅彦
寺田 寅彦의 中村彝氏の追憶(なかむらつねしのついおく)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 1,911자 · 4화면
その日の中村氏は白地の勝った絣を着ていたような気がする。穏やかで、パッシイヴで、そしてどこか涼しい感じのする人であった。
中村氏が田中舘先生の御宅へ、最初のスケッチをしに来られた時には、自分も中村先生と一緒に見に行った。八つ切りくらいのスケッチブックへ鉛筆で簡単なスケッチをしたが、それは普通の意味の似顔としてはあまりよく似てはいなかった。その時自分の感じた事は、その鉛筆画が普通のアカデミックなデッサンとはどこか行き方が違っているという事であった。
いよいよ本式にカンヴァスに筆を取り始めてからも、二、三度見に行った。そしてその描いている時の様子の真剣なのに驚かされた。下絵を描いている時など、まるで剣術の試合でも見るような感じがあった。だんだん仕上げにかかっては、その微細な観察とデリケートな絵具の使い方に驚かされた。吾々の方で非常に精密な器械の調節でもしているのと似たような際どい細かさがあった。これでは絵をかくのも大変な事であると思われた。いつか道灌山へ夏目先生と二人で散歩に行った時、そこの崖の上で下の平野を写生していた素人絵かきがあった。その絵があんまりのんきで、その描き方があんまり気楽なので、思わず二人で笑ってしまった事があるが、同じ油絵をかくのでも、人によってこんなにもちがうものかと思った。