후리가나로 읽는 일본 고전
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いきりょう
久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集
久生 十蘭
久生 十蘭의 久生十蘭ジュラネスク 珠玉傑作集(いきりょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 20,698자 · 42화면
月夜の踊の手ぶりというのはどうしてこうもたげなのであろう。狐だというせいばかりではあるまい、飛騨の奥の山奥の、こんなしんとした月の光のなかでは、辣薤畑の辣薤も、屋の棟の糸薄も畑の畔の枝豆も、風に吹かれて揺れるものといえば、なにもかも、みな思いありげに見えるのではないかなどと考えていたそうな。
狐のほうでは、そうして突っ立っている三十郎を人間臭いとも思っていないらしく、なんとも落着き払ったようすで、かったるいようなひとつ歌ばかり巻きかえしてうたっている。
三十郎はすこし面白くなってきて、臍のうえを掌で叩きながら、こらさのよいやさ、と調子をとりかけて、あ、これは化かされかけていると思った。
そう思いつつ、いつの間にか下駄を脱いで、玉蜀黍に囲われた辣薤畑のなかへはいっていって狐の影を踏みながら、盆、盆、ぼんのおどりも、と、踊り出すと、だしぬけに狐が三十郎の方へ振りかえって、
「踊るのはいいけど、辣薤を踏んづけちゃだめなのよ」
と、いった。
畜生、乙なことをいうと思いながら向うの足取りを見ると、なるほど、六寸ほど伸びた辣薤の葉を畝越しに跨ぎながらじょうずに踊っている。