후리가나로 읽는 일본 고전
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
久生 十蘭의 久生十蘭短篇選(ぼしぞう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 48,344자 · 96화면
これは時政の英断なので、寛典に流れた格律に目ざましをくれたつもりだったが、朝廷ではむやみに激怒して、時政を鎌倉へ追いかえすのどうのというさわぎになったような世だから、死刑そのものがめずらしいばかりでなく、死刑される当の人は、中納言藤原泰文の妻の公子と泰文の末娘の花世姫で、公子のほうは三十五、花世のほうは十六、どちらも後々の語草になるような美しい女性だったので、人の心に忘れられぬ思い出を残したのである。
公子と花世姫の真影は光長の弟子の光実が写している。光実には性信親王や藤原宗子のあまり上手でもない肖像画がたくさんあるが、この二人の真影は光実の生涯におけるただ一つの傑作であろう。
刑台に据えられた花世が着ている浮線織の赤色唐衣は、最後の日のためにわざわざ織らせたものだといわれるが、舞いたつような色目のなかにも、十六歳の気の毒な少女の心の乱れが、迫るような実感でまざまざと描きこめられている。
長い垂れ髪は匂うばかりの若々しさで、顔の輪郭もまだ子供らしい固い線を見せているが、眼ざしはやさしく、眼はパッチリと大きく、熱い涙を流して泣いているうちに、ふいになにかに驚ろかされたといった、どこか霊性をおびた単純ないい表情をしている。