후리가나로 읽는 일본 고전
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ぼしぞう
久生十蘭短篇選
久生 十蘭
久生 十蘭의 久生十蘭短篇選(ぼしぞう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 48,344자 · 96화면
夏はドオヴィル、冬はニースと一年中めまぐるしく遊びまわっているふうだから、ひょっとしたらいま巴里にいないのかもしれず、いるにしてもあのなまけものがいそいそと出迎えなどしそうもない。駅の停車場の出口あたりで、途方にくれておろおろしているやすのようすが見えるようで、とても放っておけなくなった。
克彦も心配して、行ってみるほうがいいというので、ブリュクセルまで自動車を飛ばして、午後の急行をつかまえ、夜遅く巴里へ着くと、案のじょう伊作はどこかで遊び呆けているのだとみえ、やすの電報は再配達の青鉛筆のマークをいくつもつけて手紙受の硝子箱の中におさまっていた。
ホームの目につくところに立って待っていると、やすはうねのある鼠紺のお召にぽってりとした青砥色の子持の羽織、玉木屋の桐の駒下駄をはいて籠信玄をさげ、筑波山へ躑躅でも見に行くような格好でコンパルチマンから降りてきて、
「おや滋さん、これはどうもわざわざ。若旦那は」
「伊作はよんどころない用事があって、それであたしがご名代よ」
「それはそれはどうも」
駅の玄関を出ようとするとやすは急に渋って、
「こんなところで降されてしまったけど、ここが巴里なの」