후리가나로 읽는 일본 고전
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ふたつのてがみ
二つの手紙
芥川 竜之介의 二つの手紙(ふたつのてがみ)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 11,799자 · 24화면
さて、私はその夜以来、一種の不安に襲われはじめました。それは前に掲げました実例通り、ドッペルゲンゲルの出現は、屡々当事者の死を予告するからでございます。しかし、その不安の中にも、一月ばかりの日数は、何事もなく過ぎてしまいました。そうして、その中に年が改まりました。私は勿論、あの第二の私を忘れた訳ではございません。が、月日の経つのに従って、私の恐怖なり不安なりは、次第に柔らげられて参りました。いや、時には、実際、すべてを幻覚と言う名で片づけてしまおうとした事さえございます。
すると、恰も私のその油断を戒めでもするように、第二の私は、再び私の前に現れました。
これは一月の十七日、丁度木曜日の正午近くの事でございます。その日私は学校に居りますと、突然旧友の一人が訪ねて参りましたので、幸い午後からは授業の時間もございませんから、一しょに学校を出て、駿河台下のあるカッフェへ飯を食いに参りました。駿河台下には、御承知の通りあの四つ辻の近くに、大時計が一つございます。私は電車を下りる時に、ふとその時計の針が、十二時十五分を指していたのに気がつきました。その時の私には、大時計の白い盤が、雪をもった、鉛のような空を後にして、じっと動かずにいるのが、何となく恐しいような気がしたのでございます。