일본어 읽기 연습

후리가나로 읽는 일본 고전

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じんがいまきょう

人外魔境

小栗 虫太郎

小栗 虫太郎의 人外魔境(じんがいまきょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.

N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 101,713자 · 205화면

아오조라 문고

これは練達山岳家としての当然の論。それに反して、季節風の猛雨が始まったら登行をするという、この折竹の説は暴論といおうか、まことに、常識外れの馬鹿馬鹿しいものだった。そして、ついに隊は二つに割れ、わずかな人夫を残すほか、引き上げることになったのだ。

そのころは、もう七月にちかく、邪風モンスーンの跫音がくらい雲行から、吹くぞ、薙ぐぞというように、聴えるような気がする。ヒマラヤ・カラコルムに吹きつける、狂暴な西南風。大雨、烈風となる最悪の時期に、折竹は速流氷河をわたると言う。

狂ったか。見す見す死ににゆくような折竹の胸に、あるいはこの狂自然を征服するに足る鬼策が蔵されているのではないか。で、結局のこったのは折竹、セルカーク、それにソ連からの監視者オフシェンコの三人。セルカークは、また言うのである。

「それでだよ。儂も、殺るとか除くとかいうようなことは、この際したくない。一つ、君によく説いてもらって、ヒルトらと一緒に帰そうと思うんだ」

「そうか」

と折竹は暫く黙っていた。あれ以来、ますます人相にも奸黠の度を加えてきた、セルカークを憫むようにながめている。ただ、氷河の氷擦が静寂を破るなかで……。