후리가나로 읽는 일본 고전
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いせのまき
伊勢之巻
泉 鏡花
泉 鏡花의 伊勢之巻(いせのまき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 17,617자 · 35화면
「いかがでございます、お酌をいたしましょうか。」
「いや、構わんでも可い、大層お邪魔をするね。」
ともの優しい、客は年の頃二十八九、眉目秀麗、瀟洒な風采、鼠の背広に、同一色の濃い外套をひしと絡うて、茶の中折を真深う、顔を粛ましげに、脱がずにいた。もしこの冠物が黒かったら、余り頬が白くって、病人らしく見えたであろう。
こっくりした色に配してさえ、寒さのせいか、屈託でもあるか、顔の色が好くないのである。銚子は二本ばかり、早くから並んでいるのに。
赤福の餅の盆、煮染の皿も差置いたが、猪口も数を累ねず、食べるものも、かの神路山の杉箸を割ったばかり。
客は丁字形に二つ並べた、奥の方の縁台に腰をかけて、掌で項を圧えて、俯向いたり、腕を拱いて考えたり、足を投げて横ざまに長くなったり、小さなしかも古びた茶店の、薄暗い隅なる方に、その挙動も朦朧として、身動をするのが、余所目にはまるで寝返をするようであった。
また寝られてなろうか!
「あれ、お客様まだこっちのお銚子もまるでお手が着きませぬ。」
と婆々は片づけにかかる気で、前の銚子を傍へ除けようとして心付く、まだずッしりと手に応えて重い。