후리가나로 읽는 일본 고전
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いせのまき
伊勢之巻
泉 鏡花
泉 鏡花의 伊勢之巻(いせのまき)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 17,617자 · 35화면
立花は品位に打たれて思わず頭が下ったのである。
ものの情深く優しき声して、
「待遠かったでしょうね。」
一言あたかも百雷耳に轟く心地。
「おお、もう駒を並べましたね、あいかわらず性急ね、さあ、貴下から。」
立花はあたかも死せるがごとし。
「私からはじめますか、立花さん……立花さん……」
正にこの声、確にその人、我が年紀十四の時から今に到るまで一日も忘れたことのない年紀上の女に初恋の、その人やがて都の華族に嫁して以来、十数年間一度もその顔を見なかった、絶代の佳人である。立花は涙も出ず、声も出ず、いうまでもないが、幾年月、寝ても覚ても、夢に、現に、くりかえしくりかえしいかに考えても、また逢う時にいい出づべき言を未だ知らずにいたから。
さりながら、さりながら、
「立花さん、これが貴下の望じゃないの、天下晴れて私とこの四阿で、あの時分九時半から毎晩のように遊びましたね。その通りにこうやって将棊を一度さそうというのが。
そうじゃないんですか、あら、あれお聞きなさい。あの大勢の人声は、皆、貴下の名誉を慕うて、この四阿へ見に来るのです。御覧なさい、あなたがお仕事が上手になると、望もかなうし、そうやってお身体も輝くのに、何が待遠くって、道ならぬ心を出すんです。