후리가나로 읽는 일본 고전
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さっかのてちょう
作家の手帖
太宰 治의 作家の手帖(さっかのてちょう)을 후리가나와 함께 일본어로 읽으세요. JLPT N2. 단어를 누르면 뜻이 나옵니다.
N2 · 고급 · 신자체·신가나 · 5,838자 · 12화면
こら! とテントの中で曲馬団の者が呶鳴る。わあと喚声を揚げて子供たちは逃げる。私も真似をして、わあと、てれくさい思いで叫んで逃げる。曲馬団の者が追って来る。
「あんたはいい。あんたは、いいのです。」
曲馬団の者はそう言って、私ひとりをつかまえて抱きかかえ、テントの中へ連れて帰って馬や熊や猿を見せてくれるのだが、私は少しもたのしくなかった。私は、あの悪童たちと一緒に追い散らされたかったのである。曲馬団は、その小屋掛けに用いる丸太などを私の家から借りて来ているのかも知れない。私はテントから逃げ出す事も出来ず、実に浮かぬ気持で、黙って馬や熊を眺めている。テントの外には、また悪童たちが忍び寄って来て、わいわい騒いでいる。こら! と曲馬団の者が呶鳴る。わあと言って退却する。実に、たのしそうなのである。私は、泣きべそかいて馬を見ている。あの悪童たちが、うらやましくて、うらやましくて、自分ひとりが地獄の思いであったのだ。いつか私は、この事を或る先輩に言ったところが、その先輩は、それは民衆へのあこがれというものだ、と教えてくれた。してみると、あこがれというものは、いつの日か必ず達せられるものらしい。